本所・桜屋敷 [鬼平]
この作品で平蔵は二十数年ぶりに剣友・岸井左馬之助と相模の彦十に再会することになります
本所・桜屋敷〔ほんじょさくらやしき〕
初出掲載誌 『オール讀物』 昭和四十三年二月号
文春文庫 『鬼平犯科帳(一)』
TV 第一シーズン2話『本所・桜屋敷』(89年7月19日放送)
脚本:井手雅人
監督:小野田嘉幹
〔本のおはなし〕
鉛色の雲におおわれた空に、凧が一つのぼっている
去年の暮れに、平蔵が捕らえて死罪に処した強盗・野槌の弥平一味のうち、取り逃がした〔小川や梅吉〕らしい男を、
「本所でみかけた」
という密告があったのである
江戸の特別警察ともいうべき火付盗賊改方の御頭(長官)が、みずから市中へ出て見廻りをするというのはめずらしいことではない
平蔵の足は本所へ向かった
本所には、彼の〔青春〕がある
若き日の平蔵が剣術をまなんだ高杉道場は、いまは師匠の高杉銀平も亡くなり、荒廃していた
道場の庭の北面は、武家屋敷の土塀によってさえぎられてい、その土塀から、このあたりにもめずらしい数本の山桜の老木が枯枝をつらねていた
この屋敷は、あたりの人びとから〔桜屋敷〕と呼ばれており、名主の田坂直衛門老人と孫娘のおふさが住み暮らしていた
二十年前、おふさが道場に蕎麦切や冷酒を差し入れてくれた時のことを思い出して、茫然と感慨にひたりこんでいた平蔵に
何者かが切りつけてきた
体当たりでかわす平蔵
「わは、はははは」、敵が笑ったのである
剣友・岸井左馬之助との再会であった
左馬之助はいまだ独り身で、十月に一度ほどは、ここを訪れると言う
おふさのことが忘れられないようだ
おふさは二人にとっての初恋の人であり、決しておふさに手を出さないことを誓い合ったのだった
白桃の実のようなおふさに対しては女性(にょしょう)への憧憬のすべてがふくまれてい、その折のわが胸底に秘められた万感の、純なるものあればこそ、平蔵も左馬之助も、おふさを忘れきることができないのである
おふさが、日本橋・本町の呉服問屋で近江屋清兵衛方へ嫁入ることを二人がきいたのは、明和四年の春のことであった
その日・・・・・・
横川に浮かべた数艘の舟へ、花嫁と立派な嫁入りの仕度をのせ、これがゆったりと水面をすべって行くのを、平蔵と左馬之助は、道場の門外に立ち、青ざめた顔で見送った
おふさは、いまも近江屋の内儀として健在にちがいないと、思い込んでいた平蔵に
何でも近江屋から出され、いまは御家人・服部角之助の御新造だとのうわさを左馬之助は告げた
左馬之助と別れた帰り道、もうひとりの旧知の間柄の相模の彦十と偶然出会う
彦十は、本所(ところ)の松井町一帯の岡場所に巣喰っていた香具師あがりの無頼者で、〔本所の銕〕と異名をとった頃の取り巻きのひとりである
その彦十、服部角之助の家が賭場になっており、そこから出てきたばかりなのだと言う
彦十にさぐりを入れさせると、〔ばくち場〕に出入りしている中に〔小川や梅吉〕がおり、服部家にいる浪人くずれを集めて、近々、近江屋に押し込むと言う
(なんかある。おふささんも一枚かんでいるな)
そう思わざるを得ない平蔵であった。。。
〔主な登場人物〕
長谷川平蔵(中村吉右衛門)
岸井左馬之助(江守徹)
おふさ(萬田久子)
小川や梅吉(遠藤征慈)
服部角之助(水澤心吾)
丑五郎(木場勝巳)
相模の彦十(江戸家猫八)
久栄(多岐川裕美)
伊三次(三浦浩一)
〔盗賊〕
・蓑虫の久:こそ泥。彦十とこころを許した無頼仲間。服部角之助の〔ばくち場〕にも出入りしており、小川や梅吉たちが近江屋へ押し入ることを知らせる。
〔料理帳・本〕
〔料理帳・ドラマ〕
分葱と木くらげの和え物、鮎並の煮付け、蕪骨の小吸い物、平蔵、役宅にて
「この鮎並は骨きりがしてあるな。この和え物は江戸味噌で和えたな。うん、うん、うまい」
手打ち蕎麦、平蔵ほか、高杉道場にて
「左馬、はやくしねえと、なくなるぞ」
〔ドラマでのアレンジ〕
彦十が角之助の屋敷に探りを入れ、捕まって拷問をうけるシーンは原作にはない。
ドラマではおふさの過去を調べるのは伊三次だが、原作では、日本橋・鉄砲町の御用聞き・文治郎が調査を行っている。
本物ホネツギマン(アビブ)さんからの御紹介の古地図
鬼平犯科帳を歩く!
萬久さん
本所・桜屋敷〔ほんじょさくらやしき〕
初出掲載誌 『オール讀物』 昭和四十三年二月号
文春文庫 『鬼平犯科帳(一)』
TV 第一シーズン2話『本所・桜屋敷』(89年7月19日放送)
脚本:井手雅人
監督:小野田嘉幹
〔本のおはなし〕
鉛色の雲におおわれた空に、凧が一つのぼっている
去年の暮れに、平蔵が捕らえて死罪に処した強盗・野槌の弥平一味のうち、取り逃がした〔小川や梅吉〕らしい男を、
「本所でみかけた」
という密告があったのである
江戸の特別警察ともいうべき火付盗賊改方の御頭(長官)が、みずから市中へ出て見廻りをするというのはめずらしいことではない
平蔵の足は本所へ向かった
本所には、彼の〔青春〕がある
若き日の平蔵が剣術をまなんだ高杉道場は、いまは師匠の高杉銀平も亡くなり、荒廃していた
道場の庭の北面は、武家屋敷の土塀によってさえぎられてい、その土塀から、このあたりにもめずらしい数本の山桜の老木が枯枝をつらねていた
この屋敷は、あたりの人びとから〔桜屋敷〕と呼ばれており、名主の田坂直衛門老人と孫娘のおふさが住み暮らしていた
二十年前、おふさが道場に蕎麦切や冷酒を差し入れてくれた時のことを思い出して、茫然と感慨にひたりこんでいた平蔵に
何者かが切りつけてきた
体当たりでかわす平蔵
「わは、はははは」、敵が笑ったのである
剣友・岸井左馬之助との再会であった
左馬之助はいまだ独り身で、十月に一度ほどは、ここを訪れると言う
おふさのことが忘れられないようだ
おふさは二人にとっての初恋の人であり、決しておふさに手を出さないことを誓い合ったのだった
白桃の実のようなおふさに対しては女性(にょしょう)への憧憬のすべてがふくまれてい、その折のわが胸底に秘められた万感の、純なるものあればこそ、平蔵も左馬之助も、おふさを忘れきることができないのである
おふさが、日本橋・本町の呉服問屋で近江屋清兵衛方へ嫁入ることを二人がきいたのは、明和四年の春のことであった
その日・・・・・・
横川に浮かべた数艘の舟へ、花嫁と立派な嫁入りの仕度をのせ、これがゆったりと水面をすべって行くのを、平蔵と左馬之助は、道場の門外に立ち、青ざめた顔で見送った
おふさは、いまも近江屋の内儀として健在にちがいないと、思い込んでいた平蔵に
何でも近江屋から出され、いまは御家人・服部角之助の御新造だとのうわさを左馬之助は告げた
左馬之助と別れた帰り道、もうひとりの旧知の間柄の相模の彦十と偶然出会う
彦十は、本所(ところ)の松井町一帯の岡場所に巣喰っていた香具師あがりの無頼者で、〔本所の銕〕と異名をとった頃の取り巻きのひとりである
その彦十、服部角之助の家が賭場になっており、そこから出てきたばかりなのだと言う
彦十にさぐりを入れさせると、〔ばくち場〕に出入りしている中に〔小川や梅吉〕がおり、服部家にいる浪人くずれを集めて、近々、近江屋に押し込むと言う
(なんかある。おふささんも一枚かんでいるな)
そう思わざるを得ない平蔵であった。。。
〔主な登場人物〕
長谷川平蔵(中村吉右衛門)
岸井左馬之助(江守徹)
おふさ(萬田久子)
小川や梅吉(遠藤征慈)
服部角之助(水澤心吾)
丑五郎(木場勝巳)
相模の彦十(江戸家猫八)
久栄(多岐川裕美)
伊三次(三浦浩一)
〔盗賊〕
・蓑虫の久:こそ泥。彦十とこころを許した無頼仲間。服部角之助の〔ばくち場〕にも出入りしており、小川や梅吉たちが近江屋へ押し入ることを知らせる。
〔料理帳・本〕
「御門人のかたがたに、これをさしあげるよう、祖父から申しつかりました」
さわやかな口上と共に、下男がうったばかりの蕎麦切と冷酒を下女にはこばせつつ道場へあらわれた十八歳のおふさの、
「まるで、むきたての茹玉子のような・・・・・・」
と、高杉先生が評した・・・・・・その初々しい処女(おとめ)の凝脂みなぎりわたったふくよかな顔、肢体が、いまにも横川べりに沿った小道から、ここへあらわれて来そうにおもえる。
四十三歳になった長谷川平蔵と岸井左馬之助の再会は、荒れ果てた高杉道場の庭で終わったのではない。
あれから二人は、報恩寺門前の〔ひしや〕という茶店へ入り、湯豆腐で熱い酒を、久しぶりでくみかわしている
彦十は、まさか〔本所の銕〕が火付盗賊改方の頭領さまになっているとは気がつかない。
二ツ目橋の〔五鉄〕という軍鶏なべ屋へ入って熱い酒をのませると、平蔵が何を問うたわけでもないのに、油紙へ火がついたように、べらべらとしゃべりはじめた。
〔料理帳・ドラマ〕
分葱と木くらげの和え物、鮎並の煮付け、蕪骨の小吸い物、平蔵、役宅にて
「この鮎並は骨きりがしてあるな。この和え物は江戸味噌で和えたな。うん、うん、うまい」
手打ち蕎麦、平蔵ほか、高杉道場にて
「左馬、はやくしねえと、なくなるぞ」
〔ドラマでのアレンジ〕
彦十が角之助の屋敷に探りを入れ、捕まって拷問をうけるシーンは原作にはない。
ドラマではおふさの過去を調べるのは伊三次だが、原作では、日本橋・鉄砲町の御用聞き・文治郎が調査を行っている。
本物ホネツギマン(アビブ)さんからの御紹介の古地図
鬼平犯科帳を歩く!
萬久さん
2008-07-13 22:25
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コメント(33)
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もうちょっと 乳が欲しいなぁ・・・
(好みの問題ですがw)
by めぐみ (2008-07-13 22:40)
僕はこれくらいでも良いです[嬉しい顔][OK](笑)
by ヒサ (2008-07-13 22:43)
萬田久子サン,服を着ているほうが色っぽいと思ってしまうのはナゼだろう(笑)
by Soundwish (2008-07-13 22:50)
僕もこれくらいでも良いです[嬉しい顔][OK](笑)
しかし、万田さんは今の方が顔がはっきりしてますね。この写真みても言われないと万田さんだって気がつかなかったかも。[汗]
by neopon (2008-07-13 22:58)
私も、小さいのは小さいなりに好きだったりします(笑)
「萬久さん」を見て「ヒサさん??」と考えてしまいました[嬉しい顔]
by こーいち (2008-07-13 23:24)
万田久子さんはどんどん綺麗になっていくよね[嬉しい顔]
彼女の声が好きです♪
おっぱいは小ぶりが可愛いっすよ(笑)
by yuka (2008-07-13 23:42)
マンキュ~さんだぁ[複数のハート]
もっとグラマラスかと思ったけど意外でした[ふらふら]
でもね、%%貧乳%%小ぶり連合会会員としては、親近感が持ててナイス[ぴかぴか]です[手(チョキ)]
マンキュ~さんの色気、着こなし、でも喋ると砕けたキャラは
女から見て、憧れるもんですよ[晴れ]
(これが豊乳だったら若干コメントが変わるかもしれん[怒った顔])
by ばんばらばん (2008-07-14 07:30)
江戸の庶民文化って粋ですね。[嬉しい顔]
時間があれば古地図と、現代の地図を照らし合わせて歩く旅も素敵ですね。趣味趣向も徐々に変えよう[温泉][温泉]
by ブラックアビブ (旧名 本物ホネツギマン) (2008-07-14 09:49)
[晴れ]めぐみさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
=====
もうちょっと 乳が欲しいなぁ・・・
=====
めぐみさんからこんな言葉が飛び出すとは思ってもみませんでした(笑)
by ひね (2008-07-14 23:06)
[晴れ]ヒサさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
=====
僕はこれくらいでも良いです
=====
これも意外な発言でした
MEGUMIふぁんのヒサさんの言葉とは思えない(笑)
by ひね (2008-07-14 23:09)
[晴れ]Soundwishさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
色っぽさは乳とは関係ないってことですかねぇ
by ひね (2008-07-14 23:13)
[晴れ]neoponさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
=====
僕もこれくらいでも良いです
=====
ほんとですか
今回は(;´Д`)ハァハァを頂けなかった事が残念です(笑)
by ひね (2008-07-14 23:17)
[晴れ]こーいちさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
=====
「萬久さん」を見て「ヒサさん??」
=====
これは、どういった意味でしょう
そんなわけないということでしょうか
by ひね (2008-07-14 23:23)
[晴れ]yukaさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
萬久さんも姉御って感じですよね(笑)
by ひね (2008-07-14 23:27)
[晴れ]ばんばらばんさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
小ぶり連合会会員だったんですか
して、会長さんは[耳][手(パー)]
by ひね (2008-07-14 23:31)
[晴れ]本物ホネツギマン(アビブ)さん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
昔の面影が残っていないか散策するのもよいかも知れませんね
by ひね (2008-07-14 23:35)
かかかかかかいちょ~ですか・・・[ふらふら]
今度、大浴場[温泉]やスーパー銭湯[温泉]に行ったら、吟味して[目]スカウトしてきます[手(グー)]
by ばんばらばん (2008-07-14 23:38)
[晴れ]しんたろう@@さん
[晴れ]Dragonflyさん
[晴れ]オノマキコさん
[晴れ]ニゲラさん
[晴れ]クロさん
[ハート]まーく、ありがとうございます[嬉しい顔]
by ひね (2008-07-14 23:39)
[晴れ]ばんばらばんさん
じゃあ、ばんさんが会長におさまったらいいじゃないですか
by ひね (2008-07-14 23:41)
18禁のグリーンですね[ひらめき]
それぞれ意味はあるのでしょうか?(笑)
by 退会済み (2008-07-15 00:14)
うっ[飛び散る汗]
体型的には適任かもしれません・・・[悲しい顔]
いや、でも大きけりゃいいってもんじゃないんっすよ~~~[パンチ]
(逆切れ)
by ばんばらばん (2008-07-15 00:23)
[晴れ]yamabikoさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
うーん、特に色に意味はないです(笑)
by ひね (2008-07-15 06:04)
[晴れ]しんちゃん♪
[晴れ]decoboさん
[ハート]まーく、ありがとうございます[嬉しい顔]
by ひね (2008-07-16 04:37)
[晴れ]蓮那(シルバー)さん
[ハート]まーく、ありがとうございます[嬉しい顔]
by ひね (2008-07-16 18:26)
やっぱり鬼平シリーズはいいですねー[複数のハート]
またまた続きが読みたくなります
初恋の人おふさの描写がステキです
一枚かんでそうですね!? さあ 左馬之助はどうする?
気になる~[落胆した顔]
それと 古地図にびっくりです 現代版もあるんですね
近所だったら行くのに・・・[バッド]
萬田さん私も親しみ感じます[るんるん]なんでだろ?笑
by ituki (2008-07-17 00:29)
[晴れ]itukiさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
四十を過ぎてもなお、おふさに対する純愛を失わない左馬之助の人柄が描かれた佳作だと思います
これを際立たせるのは、おふさを演じる女優さんによるところが大きいのですが、萬久さんが好演しています
by ひね (2008-07-17 05:55)
[晴れ]kotoriさん
[ハート]まーく、ありがとうございます[嬉しい顔]
by ひね (2008-07-18 19:31)
[晴れ]jiruさん
[ハート]まーく、ありがとうございます[嬉しい顔]
by ひね (2008-07-19 05:37)
一番上の切ない顔の萬田さんがいいっす[嬉しい顔][複数のハート]
by ひもなしパンツ (2008-07-19 14:02)
[晴れ]ひもなしパンツさん
[ハート]まーく、コメントありがとうございます[嬉しい顔]
一番うえですか、なるほど
アタシは三番目のおすまし顔も好きです[手(チョキ)][嬉しい顔]
by ひね (2008-07-20 02:11)
[晴れ]bukubukuさん
[晴れ]メガネマンさん
[晴れ]rhythm♭さん
[ハート]まーく、ありがとうございます[嬉しい顔]
by ひね (2008-07-20 02:13)
[晴れ]よたろうさん
[ハート]まーく、ありがとうございます[嬉しい顔]
by ひね (2008-07-21 18:22)
[晴れ]抹茶さん
[ハート]まーく、ありがとうございます[嬉しい顔]
by ひね (2008-07-22 23:27)